2013年5月30日木曜日

Global Game Jam 2013: 4ヶ月後の振り返り (前編)

 IGDAの年中行事,Global Game Jam が今年も1月末の週末に開催された.本ブログでのふりかえりが遅れてしまったが,その間にもサウンドゲームジャム(4月20, 21日),郡山ゲームジャム「FUSE」(毎月),宮城ゲームジャム「CORONA」(6月16日),福島ゲームジャム(8月3, 4日)と日本国内でのゲームジャムが立て続けに開催され、いまも参加者を募集している. 次のゲームジャムに備えるためにも,駆け足でGGJ2013を振り返りたい.


(Global Game Jam 2013 基調講演ビデオ (字幕を有効にすると各国語の字幕が表示される).なお最初の1分間はスポンサーのCMなので日本語字幕はない.)

全体の速報

 2月の速報によれば,GGJ2013は63ヶ国で会場が設置され,1万数千人が3000作品以上をアップロードした.こうなってくるともはや誰もGGJの全貌を見渡すことができない.このGGJの爆発的な増加は昨年から予測されており,すでに本ブログ「Global Game Jam 2013: 世界最大のゲーム開発者調査もはじまる」で紹介したように,国際的なゲーム研究チームがGGJの調査分析に着手した.
 まず5月中旬にFDG(Foundations of Digital Games)国際会議の中のGGJ分科会で分析の速報が発表されている.以下のグラフはFDG2013論文集からの引用だが,ゲームジャムの拡大のペースは衰えることなく増加している.
こうして規模が急速に拡大する一方で,GGJの参加者調査はなかなか進んでいない.なにしろ,これまでに前例のない規模のゲーム開発者調査というだけでなく,英語が通じない地域の参加者も増えたし,参加者が正しく回答できる精神状態ではないことも多い.しばらくはGGJの全体像をつかむよりも,目立った会場での気づきをピックアップするかたちで分析が進められるだろう.

日本国内の様子

 今回,IGDA日本ではウェブサイトやソーシャルメディアでGGJサイトを開設する有志を募集し,以下の会場が実際に開設された.それぞれの会場運営の都合で、参加資格や時間に制限が加えられることもあったが、これだけ多くの会場ができたことで参加者にとっては選択肢が増えたと言えるだろう。
  1. 札幌会場(公式サイト)(北海道)
  2. 石川会場(公式サイト)(石川)
  3. 郡山会場(公式サイト)(福島)
  4. 一ツ橋会場(公式サイト)(東京)
  5. 八王子会場(公式サイト)(東京)
  6. 新宿会場(公式サイト)(東京)
  7. 厚木会場(公式サイト)(神奈川)
  8. 川崎会場(公式サイト)(神奈川)
  9. 名古屋会場(公式サイト)(愛知)
  10. 立命館大学会場(公式サイト)(京都)
  11. 京都会場(公式サイト)(京都)
  12. 大阪会場(公式サイト)(大阪)
  13. 福岡会場(公式サイト)(福岡)
  14. 熊本会場(公式サイト)(熊本)
  15. 鹿児島会場(公式サイト)(鹿児島)
  16. 沖縄会場(公式サイト)(沖縄)
  17. 沖縄北谷会場(公式サイト)(沖縄)
それぞれの公式サイトからは完成したゲームをダウンロードできる.さらに,各会場からは以下に示す数々の報告が残されている.

国内報道:
個人ブログ・企業ブログなど:
プレイパーティー,ふりかえりイベントなど(今後の開催予定を含む):
 こうして日本国内だけでも北は札幌から南は沖縄まで、企業オフィス・大学・シェアハウスと様々な場所で即席のチーム開発が行われている。

革命後の世界

 このように,日本各地で48時間でゲームが開発され,さらに終わったあとも多くの人々がゲーム開発について語る状況が実現した.これは革命的とも言えるが,もちろんその革命は日本国内だけでなく世界各地で起こっている.
たとえば登録者数の多い会場リストを見ると,メガ会場が世界各地に出現している.1位のEgypt Game Jamは354人,2位のパラナ ポンティフィカル カトリック大学 (PUCPR)は323人,3位のバンクーバー会場は273人と,これまで目立たなかったエジプトやブラジルに最大級のメガ会場が出現した.
その一方で,Global Game Jamの原型であり,最大のゲームジャム会場だったコペンハーゲンのNordic Game Jamは今回は日程をずらして開催され,Global Game Jamには参加しなかった.そしてコペンハーゲンの開発者の一部はGGJ期間中は世界各地の会場に参加している.後編ではこうしたGGJの新たな会場の動きと国内の新たな動きについてまとめてみたい.

(山根)

0 件のコメント:

コメントを投稿