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2024年3月26日火曜日

ゲームデベロッパーが地球温暖化に取り組む理由: 2022-2024

主筆の山根です.私事ですが,この4年間はゲーム開発者の専門職大学の立ち上げに参画しました.そのためこの4年間は学術論文よりも,翻訳・対談・一般書を主にやってきましたが,最初の卒業生を送り出したことで,2024年度からはゲームの高度専門家人材育成を大学から日本全国へと広げていきたいと考えています.今回はその次世代ゲーム開発者を待っている問題の一つとして,2022年から起こっているゲームデベロッパーの環境問題への取り組みを,GDCなどの国際的な変化を中心に紹介します. 

2020年6月1日月曜日

パンデミック下の不安に応えるゲーム専門家

ブログ主筆の山根です. 前記事「GGJ20以後のゲームジャムシーン 」では,大きなゲームジャムがオンラインに移行することで国境を超えたチーム開発経験を積めるようになったことに注目しました.ゲームジャムはこれからも貴重な開発体験を積む場所になるでしょう.その一方で,ゲーム開発以外の人たちにとってパンデミックはどのような変化をもたらしたのでしょうか? 本記事では,ゲーム開発者以外の動向に注目し,パンデミックに伴う外出禁止がゲームにもたらした変化をまとめます.

2020年1月30日木曜日

ゲーミング障害の政治とゲーム開発者ができること

アカデミックSIG主筆の山根です.
 本記事では,WHOでのゲーミング障害の扱いに対するゲーム学界の対応を説明し,ゲーム開発者が(パブリックコメント以外に)できることを考え,Global Game Jam瀬戸内会場in香川について説明します.
 さて香川といえば県の#ネット・ゲーム依存症対策条例が話題だが,その出しにつかわれたのが「ゲーム障害(ゲーミング障害)」という概念である.世界保健機構(WHO)のICD-11(追記: 「疾病及び関連保健問題の国際統計分類」(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems) 第11版)で,「ゲーミング障害(gaming disorder)」の分類が追加されることが決定され,有効になる前から政治的関心を集めている.本記事ではゲーミング障害に関するゲーム研究・ゲーム分野での議論をまとめてみたい.

ゲームと障害

これまでゲームと「障害」(discorder)についての学会報告といえば,「ゲームで障害を治療できるか」というゲームを積極的に応用する取り組みが主流だった.

2019年3月17日日曜日

2019年プレビュー後編: 誰が教育者を教育するのか

新たな動向: 存在意義を発信する教育機関

ブログ主筆の山根です.前回の前編記事では、2000年代にデジタルゲームが学問の対象となり、一部の先進校だけでなく国際学会をあげて整備されてきた歩みを紹介しました.こうしてゲームが人生をかけて学ぶに値する学問になって、ゲーム開発者教育はこの先どこに向かうのでしょうか.まず考えられるのは、本ブログでもたびたび紹介してきたように、各国でゲーム研究を看板にした大学・大学院の競争が活発になる.この競争にもいろいろな評価基準があり、どれだけ人材育成予算を獲得したか(たとえば2019年2月、イギリスでは新たに60人のゲームAIの博士課程の大学院生を雇用すると発表した)、どれだけ大きな研究拠点を作ったか(フィンランドでは公立のCoE (The Centre of Excellence in Game Culture Studies)を設置した)、そして調査会社がつくったランキングの順位を競う競争(昨年の本ブログ記事でも紹介)もある.しかし、こうした競争だけでは学問の発展は説明できません.競争する一方で、ゲーム教育機関は国境を超えて同じ目標を掲げて足並みをそろえています.
 2019年は学問としてのゲーム教育機関がその存在意義を発信し、評価を受ける年になると考えています.この後編の記事では.今年2019年に開催されるイベントから新たな取り組みを展望します.

2015年2月19日木曜日

GDC15 アカデミック・プレビュー

世界最大のゲーム開発者の国際会議,GDC(Game Developers Conference)が今年は3月第1週に開催される. 我々IGDA日本も告知協力を行っており,さらに本記事ではアカデミック関係(教育・研究)の観点からプログラムを紹介したい.

産学交流の場として

GDCはゲーム産業における産学連携の場として重要な役割を果たしてきた.特にGDC2002で開かれた「IGDA Academic Summit」はその後のIGDAカリキュラムフレームワークやEducation SIGの立ち上げだけでなく,IGDA日本の立ち上げに大きな影響を与えている(新清士「ゲーム産業と学術研究機関の関係」参照).
その後,ヨーロッパ発祥のDiGRA世界大会, 小規模会場での開催にこだわるGDCSE(のちのFDG),あるいは人工知能のAIIDESIGGRAPHのように分科会から発展した専門性の高い国際会議など,特色ある 学術会議の種類も増えてきた.GDCはそれらの国際学会のように専門家が最先端の発表を競う場ではないが,その一方で,それらの専門分野ごとの集まりでは出会えない業界を越えた交流の場所としてGDCは機能している.


2013年7月30日火曜日

オバマ政権を支えるゲーム専門家(追記)

オバマ政権は(それ以前の政権とは異なり)ゲームを批判するのではなく,有効に活用したいという意向を持っていた.しかしそれまで大統領府にも議会にも省庁にもゲーム産業との協力関係がなかったため,ゲームの効用についてオバマ政権にアドバイスできる外部の人材が必要とされていた.

アドバイザの役割

アメリカでは第二次世界大戦のころから,科学やハイテクの専門家が中立的な視点からアドバイスを行い,大統領の意思決定を支援する「科学技術政策アドバイザ」という役職が存在する.ただし日本ではこの科学技術アドバイザのイメージが非常に悪い.原水爆開発において果たした科学者の役割(ナチスドイツから逃れてアメリカ大統領に原爆開発を進言したり,冷戦時代の核開発競争にも影響を与えた物理学者)のイメージはいまでも強いし,さらに日本国内でも原子力発電所の安全性を宣伝した学者の前例もある.ようするにゲームに出てくる悪の科学者のイメージです。
 こうした科学者不信に応えて,オバマ政権では科学技術アドバイザの選任や議事は迅速に公表されており,ゲーム産業についてもホワイトハウスでどういう会合があったかは公開され,会合がない場合はスタッフがブログで情報を開示して透明性を確保しようとしている.本記事ではそうした公開情報からホワイトハウスにおけるゲーム専門家の活動を紹介したい.

2011年4月28日木曜日

PSN事件と今後の展望

事件の規模

すでに報道されているように,攻撃を受けてサービスを停止していたSony PlayStation Network(PSN)の全ユーザのデータが流出した可能性があると27日に発表された.全ユーザ7700万人分という規模の流出があったとすればアメリカで過去に起こった1億3000万件のカード番号盗難にせまる最大規模の被害となる.しかも今回はクレジットカード情報だけでなく全ユーザの氏名,住所,メールアドレス,誕生日,パスワード,ハンドルネームが含まれており(どのような形で暗号化されているかは不明),クレジットカード情報以上の利用価値がある.また「36カ国、22通貨、12言語」という全世界サーバ(日経ビジネス, 2010年3月2日)からの流出は前例がないもので,消費者保護先進国の政府機関も動きはじめたことで,個人情報保護の歴史の上でも大きな事件となる可能性が高い.

2011年4月16日土曜日

2010年度のゲーム研究を振り返る: つながるゲーム研究

2010年のゲーム研究を振り返ると,ボーダーレス化が進んだという個人的な印象がある.ゲーム研究は多くの分野にまたがるために研究の中心も分散している.このために自由度が高いとも言えるし,研究アジェンダを放棄して内輪受けに走っていると批判されることもある.しかし個人的な印象ではあるが、2010年はゲーム研究の分散だけでなく接続も促進された一年だった.たとえば普段は見向きもされないゲーム研究がある日注目され,研究者以外の広い層を巻き込んだ議論がネットで続く,という現象が見られた.

2010年3月9日火曜日

ゲームと社会の関わり: ゲーム脳を振り返る

本記事では「ゲーム脳の恐怖」をめぐる数年間の議論の歩みを振り返り,学術動向も含めたゲームと社会との関わりについて展望したい.