ウェブサイトの日本語化作業の開始
これまでGlobal Game Jamの情報は英語のみで提供されてきた.これには共通の言語を使って世界の開発者と相互に作品を評価し合う狙いもあったのだが,今回のGGJ2011からは新たにウェブサイトを各国の言語にローカライズするという試みが行われている.IGDA日本でも一般的な記事の日本語化を開始した.現在は部分的な日本語化にとどまっているが,1月にはさらに校正が進められる予定である.日本語窓口,日本向け解説
またIGDA日本では一般記事だけでなく,個別にGlobal Game Jamへの参加について誰でも尋ねることができるフォーラムを設置した.ウェブサイトではよくわからない点についてはぜひ質問してほしい(Googleアカウントを一つ作る必要あり).さらに,IGDA日本では今月から国内の学術・報道メディア向けの情報発信も開始した.
- 新清士. 「48時間以内にゲームを1本作る」イベントの狙い. (日経新聞電子版, 2010/12/1)
新たな国内会場
1月末の時期は,期末試験や入試で大学施設を借りることは難しい.このことから前回記事では,学校以外の企業の施設でもGame Jam会場として登録できると紹介した.しかしこの困難を乗り越えて,国内の大学が会場に名乗りをあげてくれたのはうれしい誤算だった.記事執筆時点で会場開設が決定しているのは以下の3会場である.- 八王子で産業界,大学と大学院,専門学校とが連携して実施する東京工科大学サイト
(日本語情報) - 福岡市で産官学連携によって実施されるGlobal Game Jam Fukuoka 2011 (日本語情報, CEDEC2010での発表)
- 札幌の北海道大学サイト
(日本語情報, 札幌ゲーム制作者コミュニティ”Kawaz”)
新設部門: 非デジタルゲーム
Global Game Jam 2011の新たな変化として,デジタルゲーム以外でのエントリーも可能になった.つまり,PC上で動くプロトタイプに限らず,(主催者の了承を得て)チームさえ編成できれば,ブラウザゲーム,ボードゲーム,カードゲーム,ARG,体育競技などあらゆるゲームをGGJで制作できることが明記された.IGDA日本でもSIG-BoardGameでボードゲームをつかったセミナーやワークショップを開催してきたが、即席混成チームが48時間で開発するというGGJとのコラボレーションにより、さらに自由な発想でのゲーム開発が期待される.新スポンサー
GGJのスポンサーは年ごとに変わっているが、GGJ2011ではスポンサー企業にIntelやAutodeskらが並んだ。期間中にはそれらのスポンサーからGlobal Game Jam参加者に対して何らかの特典があるものと期待される.また、新たに世界最大最古のコンピュータ学会であるACMが共催団体に加わった.これにより,コンピュータサイエンス方面からも新たな参加者や会場が加わりそうだ.
終わりに
ここまで見てきたように,GGJ2011では日本国内でも北は北海道から南は九州まで,過去最大のスケールで実施される予定である.デジタルでもアナログでもゲームを作りたい人は,それぞれの会場でプロアマを問わず参加できる.そして各地のゲームを実際に遊んで評価するのも楽しみだ.コロンビア,ロシア,ポーランド,インド,パキスタン,フィリピンといった初参加の国々のチームがどんなゲームをつくるのだろうか.GGJ2010で紹介したような世界的なゲーム研究拠点からは、これまでにみたことのないようなゲームをつくろうという野心的な挑戦もでてくるだろう.ちなみに筆者の個人的な興味としては、YouTubeで配信される基調講演も楽しみにしている.2009年は2D Boy,2010年はZoeModeと,GGJの基調講演はインディーゲームの若いスタークリエイターが続けて起用された.今年はどうなるのか.
このようにして、様々な立場から楽しむことができる世界最大の開発イベントに向けて,各地でGGJの準備が進められている.1月末の28-30日に世界各地で進められるゲーム開発に注目していただきたい.
国内学会でのGlobal Game Jam成果発表が決まりました:
返信削除2月に国内学会でIGDA日本と東京工科大学グループの両者がそれぞれ学会発表を行うことがきまりました。
情報処理学会 第108回コンピュータと教育研究発表会
2011年2月5日(土)〜6日(日)
東京農工大学
(5)高等教育におけるゲーム開発の理論と実践: Global Game Jam を例として
http://www.ipsj.or.jp/09sig/kaikoku/2010/CE108.html
情報処理学会 第142回グラフィクスとCAD研究発表会
2011年2月8日(火)〜9日(水)
慶應義塾大学日吉キャンパス
(7)日本における産学連携によるゲーム制作の実践教育
http://www.ipsj.or.jp/09sig/kaikoku/2010/CG142.html
また、年度末には東京工科大学グループによる成果報告会も計画中です。