2011年1月26日水曜日

Global Game Jam 2011 直前情報

世界規模の同時多発ゲーム開発イベント,Global Game Jamがいよいよ今週末に迫っている.IGDA日本でも国内の各会場と協力して準備を進めており,その経過はすでにIGDA日本の専門部会やTwitter, Ustreamでも伝えられているが,ここではそれらの最新情報を整理するとともに,参加者の準備および非参加者への情報配信の両面から直前情報を紹介したい.



急増する参加者

Global Game Jamの参加会場は44ヶ国に広がり,これまでにない盛り上がりをみせている.しかも欧米やシンガポールのゲーム研究開発拠点だけではなく,トルコやブラジルやタイの会場が百人以上の参加者を集めた.これは過去にない新たな傾向である.たとえ大きなゲーム市場や企業がなくても,ゲームを開発する多くの人が集まる熱い場所が世界各地に出現したこと,そして集まったクリエイター達を支援する社会的インフラもまた世界各地に配備されてきたと考えると、この新しい事態は印象深い.
日本国内でも,会場主催者の熱意により,福岡の Global Game Jam Fukuoka会場が本稿執筆時点でベスト15に入る参加者を集めている.福岡会場独自の基調講演として地元出身の「もじぴったん」シリーズの中村隆之氏を迎えるなど、地域ネットワークの力を感じさせる.
また,共催団体であるACMでも今月になってからACM SIGGRAPHの支部が参加を呼びかけており,当日参加も含めてGGJ初日の夜まで参加者数は増加し続けるだろう.

基調講演に高橋慶太氏

先月の記事で「基調講演も楽しみにしている」と書いたが,今年GGJが世界各地の会場に配信する基調講演は、「塊魂」「のびのびBOY」の高橋慶太が行うことが決定した.公式発表によれば,基調講演はゲーム産業界を驚かせる内容らしい.基調講演はYouTubeで配信されるのでぜひ参加者以外の方々にも見ていただきたい.

過去の基調講演の日本語版公開

基調講演はGlobal Game Jamの目指すものを伝える最高の教材となる.日本国内のボランティアも第1回(2009年)の基調講演を日本語訳し,字幕をつけて一般公開を開始した.

第1回目の基調講演は今回の基調講演とは異なり,大学や大学院でゲーム開発を学んだ第一世代からのメッセージだと言えるだろう.

直前情報: 日本語番組をチェックしよう

もともとゲーム開発の様子をウェブでリアルタイム中継しようというのはGlobal Game Jamのスタイルだった.それは参加者にとってはお互いの励みになるし,真剣にゲームに取り組む学生について知ってもらいたいという社会への広報も兼ねていた.そして今回はさらに,事前のUST番組まで配信されている.
国内会場の一つ,東京工科大学の学生を中心とするクリエーター集団 BaNyaK が会場運営者と協力してGGJの48時間Ustream放送を計画している(BaNyaK公式サイト).そのプレ企画として今月も,1月19日(水曜日)深夜にUST生放送を行い,札幌〜東京〜福岡の各会場のキーパーソンが参加している(Twitterまとめ).

Video streaming by Ustream
そして1月26日(水曜日)深夜23:00からも直前の生放送が行われる(今回はIGDA日本からも参加する予定).週末に参加できないという方も、ぜひこの番組はごらんいただきたい.
これ以外にも,世界各地の会場で取材依頼が相次いでいるようだ.過去にシカゴのDePaul大学ではGGJ2009をもとにドキュメンタリーが制作されているし,コペンハーゲンのデンマークIT大学ではGGJ2010の番組が制作され,GGJ2011のドキュメンタリー制作が予告されている.会場によっては十代の子供が参加していたり何百人も集まっていたりと各地の開発者文化の比較としても興味深い.

直前情報: 昨年の話題作をチェックしよう

昨年のGGJ2010の注目作と会場については本ブログでも紹介したが,あらためて紹介しておこう.最新版のFlash Player, Unity Web Playerをインストールしたら,過去の作品をプレイしてみよう.
その他の作品紹介としては,Gobal Game Jam Newsletterも参考になる.大学生・院生・社会人・教員とそれぞれチーム構成が違うので,完成度を見てもあまり比較にならない.むしろそれぞれがまったく方向性の異なるおもしろさを追求していることを確認したい.また,毎回複数の課題やテーマを変えて実施されるので,去年の作品と今年の作品を単純比較することにもあまり意味がない.昨年は各地域の時間帯ごとにキーワードが出題される(ゲームの題材はキーワードの中から選ばなければならない)とともに,「デバイスを活用する」とか「非娯楽目的のシリアスゲームをつくる」などの挑戦課題(こちらは開発の経験者向けで,必須ではない)も提示された.今年もすでにいくつかの挑戦課題(Achievements /Diversifiers)が事前に出されているが,地域ごとのキーワードは各地域の開始時間にならないと公表されない.

直前情報: 作業環境を準備しよう

参加者の人は自分の使い慣れた環境を会場に持ち込むことができる.また,自由ソフトウェアや無料ソフトウェアを使って本格的な開発環境を準備することも難しくない.たとえば公式スポンサーのAutodesk社はさっそくGlobal Game Jam公式サイトで無料ライセンスの紹介をしているし,第1回GGJのスポンサーだったUnity Technology社は公式スポンサーではなくなったが,ひきつづき無料版のダウンロードができる.もちろん自作ツールでも構わない.GGJではこうしたツールに加え,異なるツールを使う相手との共同開発のための工夫も必要になるので,インポート機能など確認しておこう.

また,チーム開発にはバージョン管理も欲しい.Dropbox (https://www.dropbox.com/) は開発目的以外でも人気があるし,Assembla (http://www.assembla.com/)だと 個人用のGitレポジトリは無料,プロジェクト管理機能もオープンソースソフトウェア開発ならば無料で使える(残念ながら、GGJのライセンスはクリエイティブコモンズライセンスの非営利条項を含んでいるのでオープンソースソフトウェアには該当しない).Assemblaの日本語版と言えるのが SourceForge.JP (http://sourceforge.jp/) で,そのPersonalForgeでは個人用のGitレポジトリを作成利用できる.

以上,直前準備情報をお伝えした.参加者は体調管理に気をつけて,体調不良で会場入りすることのないようにしてほしい.また非参加者には以下に日本国内の各会場の情報源を並べておくので,今後の動向に注目してほしい.

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