2011年10月31日月曜日

Reality is Broken 勝手にブックガイド

ジェイン・マクゴニガルによる話題作Reality is Brokenの日本語訳『幸せな未来は「ゲーム」が創る』が今月出版され,早くも反響を呼んでいる.
これまでにシリアスゲームジャパンでの翻訳者による紹介だけでなく,日経新聞電子版の書評やエキサイトレビューのくだけた書評も読むことができる.これ以外にも,著者を「NHKスペシャル 世界ゲーム革命」(「ゲームレボリューションII 賢者の予言」)の放送で見た人も多いだろう.



本書の特徴

本書の著者であるマクゴニガルは大学院で訓練を受けているので,よく調査整理された書き方になっている.たとえば,テトリスは必ず負けるようになっている(p.43)とか,幸福は個人的な努力の結果に得られるものだ(p.76),といった誰でも言えそうなことまで参考文献をあげて,誰がそれを指摘したのかが示されている.しかし「そんな参照に何の意味があるのか」「なぜゲームのように楽しい本を書かないのか」と疑問に思われる読者も多いだろう.これは(CEDEC2010で基調講演を行なった)石井氏もかつて書いているように,研究者は自分が参考にした先行研究を明示しながら自分の考えを述べるという訓練を受けているためだ.この点で,本書は一般向けに力を抜いて書いた本ではなく,専門家としての力を注いで書かれた本だと言える.

原註をそのまま収録

広範なゲーム研究でクレジットを示すと論旨が拡散してしまうので,本書の著者であるマクゴニガルは自分のアイデアの元になった文献を巻末註にまとめ,そこに本文からリンクを飛ばしている.この巻末註が日本語訳にはそのまま収録されている.けっこうページ数があるので巻末註を省いて価格を下げることもできたはずだが,この配慮はありがたい.巻末註がそのまま収録されていることで,本書はマクゴニガルの主張を読むだけでなく,彼女の文献データベースをたどり,ゲーム研究のブックガイドとしても使うことができる.そこで本ブログ記事では,著者が参考にした文献に関連する情報を(日本語のものを中心に)紹介してみたい.



はじめに

まずは「はじめに」から順番に.
エドワード・カストロノヴァ (日本語訳 p.13)
エドワード・カストロノヴァはオンラインゲームの経済活動をいちはやく報告した経済学者だ。彼の書籍は翻訳されていないが、EverQuestでの経済活動をはじめてとりあげて世界のゲーマーから注目されたオンライン論文は氏田訳「仮想世界:市場とサイバーフロンティアの社会の直接取引」として日本語で読める。

第一部 なぜゲームは人を幸せにするのか

チクセントミハイ (p.35)
巻末には出典としてBeyond boredom and anxietyが示されているが,この本は『楽しみの社会学: 不安と倦怠を越えて』(1979),『楽しむということ』(1991),『楽しみの社会学』改題新装版(2000)として翻訳されている古典的な文献だ.

バーナード・スーツ (p.40)
巻末注ではバーナード・スーツの情報源としてRules of Playがあげられているが,これは今年『ルールズ・オブ・プレイ』として上巻が翻訳されている(誤記誤植訂正).

ベンシャハー (p.55)
この本はまともな心理学の本なのだが,日本ではよく宗教書コーナーに置いてある.日本語訳は幸福の科学出版から出ている『HAPPIER 幸福も成功も手にするシークレット・メソッド ハーバード大学人気No.1講義』.「ゲームの効用で自己啓発本を引用するな!」と反発された方もいると思うが,ご心配なく.第10章でゲームと自己啓発本の違いについて述べられている.

ポジティブ心理学の登場 (p.61)
ここで述べられているとおり,近年のポジティブ心理学(ポジティブ・サイコロジー)の成果が著者の主張を支えている.ポジティブ心理学は近年の心理学に起こった大きな変化であり,2000年代のこのタイミングでなければ本書の執筆は難しかったはずだ.
ポジティブ心理学については,推進者の一人であるセリグマンがアメリカ心理学会(American Psychological Association: APA)の会長もつとめ,全米の心理学者やセラピストを代表して多くの社会的な発言をしている.それらの中には日本語訳されているものもある.

マーティン・セリグマンのポジティブ心理学


ポジティブ心理学の知識を活用(p.61)
ここではゲーム産業のディレクターやデザイナーがポジティブ心理学の研究成果を取り入れていると著者は述べているが,これは北米の話で,日本ではまだ十分ではない.特に日本では,残念ながらポジティブ心理学が脳内革命とかスピリチュアルと混同された形で導入されてしまった(たとえばチクセントミハイとの出会いを語る天外伺朗).つまり生き方講座になって,製品に組み込むテクノロジーだと思われてこなかった.そのような国内のシーンにおいて,ポジティブ心理学の知見をたんなるお話ではなく,実装可能なゲームのメカニズムとして扱っている本書の翻訳は特別なインパクトを持っている.

ゲーム業界は,プレイ時の感情に関する神経生物学的な研究に特化した科学的研究を...(p.61)
ポジティブ心理学のあとにこの話をつなげるのは紛らわしい書き方で,企業研究所ではポジティブ心理学を研究しているのではない.大手のゲームパブリッシャーのラボやコンサルティング会社で活躍している研究者はポジティブ心理学だけに限定されない実験心理学の訓練を受けた博士で,主にユーザビリティ評価に取り組んでいる.
たとえばGDCで自作モニタリング装置の写真がでてくるように,実験装置を自力で組み上げられる研究者がゲーム開発プロセスに加わっている.いまのところ日本では(私の知る限り)心理学者がゲーム開発プロセスに参加して書いた論文は出ていない.博士人材をリクルートする北米企業に対してユーザビリティ評価を外注しているのが日本企業の現状だろう.

私たちは...みずから幸福を生み出さなければなならないのです(p.71)
この論文の著者の一人Sonja Lyubomirskyは,ポジティブ心理学の研究成果にもとづく指南書でベストセラー書籍を書いた他,彼女が顧問をつとめる会社がポジティブ心理学にもとづくiPhoneアプリを出して話題になった. (追記: ソニア・リュボミアスキーの著作の邦訳『幸せがずっと続く12の行動習慣: 自分で変えられる40%に集中しよう』が2012年に出た.)

ビデオゲーム研究の歴史上で,もっとも重要な発見のひとつ (p.96)
ここで示されているのはマクゴニガル自身も加わっているゲーム研究ランキングなので自作自演っぽいが,このランキング以外に重要なゲーム研究を選考する場がなかったのでやむをえないだろう.マクゴニガルはかつてGDCのセッションでゲーム研究の学術発表にランキングをつける共同企画を毎年行なっていた.こうしてゲーム研究の動向をひろく調査するのも大学院生の訓練の一つだが,著者が就職してからは後を継ぐ若手はまだ現れていない.
楽観的な心理状態にあるとき,人は... (p.103)
このセリグマンの本の日本語訳は『オプティミストはなぜ成功するか』(講談社文庫).これも生き方指南,ハウツー本のようなタイトルだが,アメリカ心理学会会長になった心理学者による真面目な本だ.参考文献の中でも最も安く文庫で手に入る.

幸福とは接続詞であり結合組織なのです (p.118)
「結合組織」というのは生物学用語なのでかえってわかりにくい比喩になっているかもしれない.生物学を習ってない人は調べてみた方がいいかも.

あまりの難解さで悪名高いゲーム「ブレイド」(p.129,137)

無名のゲームが「メイド イン ワリオ」シリーズ(海外名称はWarioWare)と並んでいることに違和感を持つ人もいるかも知れない.これは2006年のインディペンデントゲームフェスティバルのデザインイノベーション部門に優勝した話題作「Braid」のことだ.のちに有料版が2008年にXbox LIVE アーケードでもヒットし,日本語デモもある.
「孤独にボーリングをする人」の国 (p.136)
これはロバート・D・パットナム『孤独なボウリング』として柏書房から日本語訳がでている.ボーリングの調査をした本ではありません(^^).本論には直接関係しないためか巻末リストにはでてこない.
ヨハン・ホイジンガ (p.162)
オランダの文化史家ホイジンガの著作も上記のパットナム同様に筆者の主張には関係は薄いのだが,こちらの方は巻末リストに英語版が載っている.日本語版は『ホモ・ルーデンス』(中公文庫,河出書房新社)として訳出されている.
米国,日本,シンガポール,マレーシアの八大学で... (p.164)
この国際的な共同研究については,日本デジタルゲーム学会の坂本副会長やDiGRA2007組織委員会の渋谷委員も加わった英語論文が出ており,著者の一人が原稿を公開している.ただしマクゴニカルはこの論文からかなり飛躍した独自の展望を述べているので,日本国内の共著者にコメント取りに行ってもマクゴニカルみたいなことは言わないだろう.

第2部 現実を作り変える

『トワイライト』, テレビドラマ版でのバフィー (p.194)
それぞれアメリカで大ヒットして日本でも公開されたバンパイヤものの映画とテレビ番組.前者はベストセラー小説を映画化した『トワイライト』,後者は映画に続いて制作されたFOXチャンネル『バフィー 恋する十字架』、テレビ東京では『吸血キラー/聖少女バフィー』.

ニューゲーム運動 (p.203)
「ホールアースカタログ」で知られるスチュアート・ブランドが立ち上げに関わっていたカウンターカルチャー運動.ちなみに当時のスチュアート・ブランドは大学の計算機センターでしかプレイできなかったSPACEWARの最初のレビューRolling Stoneに寄稿している.

セルフヘルプによって幸せにアプローチすることは,これまでに発表されているポジティブ心理学の事実上すべての研究結果に反しています (p.266)
前述したように,脳内革命本や自己啓発本産業を過去のものにする本書の日本語訳を出すのは英断だとつくづく思う.

「ハッキング」という言葉 (p.268)
参照されているのはリチャード・M・ストールマンの伝記本で,『Free as in Freedom』和訳プロジェクトにて日本語訳が進んでいるが,参照している付録部分はまだ翻訳されていないようだ.


第3部 大規模ゲームはどのように世界を変えられるか


SETI@home (p.336)
日本ではSETI@homeは独自のもりあがりをみせ,世界で唯一のSETI@homeを楽しむファンのための本が野尻抱介『SETI@homeファンブック: おうちのパソコンで宇宙人探し』として出版された(2001年度星雲賞ノンフィクション部門候補作)。
現在ではSETI@homeはBOINCプロジェクトの一部になっているが,SETI@homeプロジェクトでは他のプロジェクトとはやや異なり,主催者の科学者たちがプロトタイプのソースコードを公開したり中の様子をオープンに語っているために,開発者と参加者,そして各国語の翻訳ボランティアが一緒にもりあがった.こうした各国語の翻訳/解説ボランティアの存在や,初期のチートやネットワーク攻撃について報告が読めるのもSETI@homeの特長である.

5万7000人以上のゲーマーが正式な共著者 (p.343)
この論文は2010年にNature誌に掲載された「多数同時参加型オンラインゲームを使ったタンパク質の構造予測」(目次, 日本語要約(要ユーザ登録)).この他にも著者たちのページではゲームの学術会議FDGで2010, 2011年に発表されたペーパーも公開されており,そちらはゲーム開発についてさらに掘り下げている.

ウィル・ライト対談 (p.423)
これはカール・セーガン原作のSF映画「コンタクト」の主人公のモデルと言われるSETI研究所のジル・ターターとウィル・ライトとのビッグ対談.巻末リストにあるように対談記事はオンラインで公開されていたが,先ごろ書籍に収録されてオンラインでは見つからなくなった.現在はビデオのみ視聴可能となっている.

謝辞 (p.502)
本ブログの親団体であるIGDAのアクティブなメンバーが並んでいるが,その中から特にふたりだけゲーム研究者・教育者を紹介しよう.
この中に登場するゲーム研究者のケイティー・セイレンは,第7章「クエストトゥラーン」(q2l.org)ディレクターのケイティ・サレン,そして『ルールズ・オブ・プレイ』(p. 540)共著者のケイティ・サレンと同一人物である.
またIGDA Education Summitのスーザン・ゴールドは,第1回 Global Game Jam (2009年1月)の基調講演の冒頭に登場している.
 (追記: 著者の姉妹であるケリー・マクゴニガルの著作の日本語訳『スタンフォードの自分を変える教室』が2012年後半に出た。)



以上,駆け足で本書の関連ブックガイドを行なった.研究者の書き方は冗長に感じられるかもしれないが,過去の研究の積み重ねの上に独自のアイデアや主張を展開していることがわかる.そして本記事で紹介したように,多くの公開情報を入手することができる.
こうして公表され共有された知見の再発明にとどまることなく,この積み重ねの上にさらに新たな貢献を積みあげていくのが後に続く研究者の役割となるだろう.

5 件のコメント:

  1. 非常に良いまとめありがとうございます。ポジティブ心理学の動きとか、知らなかったことが多いので、とても役立ちます。どうしても海の向こうの動きということもあって、日本に来るときには誰が紹介するかによって、コンテクストが誤って伝わってくることが少なくないですよね。

    ・参考文献とは違うかもしれないけど、エリック・ジマーマンを上げておいてもいい気が。「RoP」の共著者でもあり、IGDA関係者であり、ジェインが「ゲームでノーベル賞」をと言い出した無茶なことをいうGDCセッションの企画兼モデレータ。
    ・オンラインゲームユーザーの4分類を考え出したハーバード大学のニック・イーがEverQuestの研究の後、WoWの研究で博士論文を取ったのは、この本で初めて知りました。彼も、ジェインと同じく、最初期のゲーム研究を本気でやった世代。
    ・P63の社会学者デビッド・ザドナウの「ブレイクアウト」の文化人類学的な論文は、過去のゲームについての論文をまとめたケイティ・サレンが中心になってまとめた「Rules of Play Reader」に収録されており、昔輪読会をやったときに読みました。このReaderの影響も研究に与えた影響は大きいのだなと。
    とか、思いついたところ。

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  2. 語句を補足しました.
    新さんご指摘のとおり,2000年代に同じような教科書を読んで勉強したんだということがわかります(^^).

    ・新さんご指摘のジマーマンも重要なキーパーソンですね.共著者のケイティ・サレンがアカデミックリーダーになった一方でジマーマンはデザイナーや起業家の印象が強かったけど,彼もNYUゲームセンターにリクルートされてNYのゲーム産学連携のキーパーソンになったのを忘れていました.
    http://gamecenter.nyu.edu/people

    ・Richard BartleがMUDユーザの4分類を言い出して,それをMMORPGに拡張させながらネカマ調査とかログ解析とかを切り開いたのがNick Yeeですね.彼はハーバード卒じゃないですよ(あそこはゲーム産学連携ができてない).彼はスタンフォードの大学院からすぐ近くのPARCに就職してますね.
    http://www.nickyee.com/

    ・ザドナウは学者じゃなくてアメリカではちょっと有名なピアノの先生です.
    http://www.youtube.com/watch?v=eGptggjjujI
    日本でもゲーム黎明期は意外な人が格調高いゲームレビューを書いてますが,ジマーマンたちはそういうお宝レビューを発掘収録したわけです.そしてマクゴニガルは当時の意外感をうまく切り取って現代の一般の人に届けてます.両者に職人芸を感じます.

    あ,あとはゲームの定義についてはジェスパー・ジュールの日本語訳も紹介しておけばよかったかも.
    http://www.jesperjuul.net/text/gameplayerworld_jp/
    マクゴニガルはなぜかジェスパー・ジュールへの言及を避けていて, 「ロックバンド」のプレイ体験を難しい言い方で解説する人,みたいなぞんざいな扱いになってる:-p) これはやっぱりジュールはゲーミフィケーション懐疑派だからだろうなあ.

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  3. ジマーマンは、彼のスタジオのGameLabがカジュアルゲームの最初期の大ヒットタイトル「Dany Dash」で成功した後、会社の規模をネット流通に進出させるなど、会社の規模化をはかって、それうまく行かなくて、結局、倒産してしまうんですよね。「Dany Dash」はPlayFirstにすべて権利を取られ、未だに人気のあるゲームなのですが……。
    その後、ゲームデザインコンサルタントとして、NYCでゲームデザインの講座をを持ったり、少しアカデミックよりのゲームデザイナーとして、活発に活動は続けていますよね。多分、ケイティ・サレンの高校の授業のゲーミフィケーション化にも関わっているのではと思います。

    ニック・イーは、スタンフォードか、うろ覚え加減がw。イーが活発に論文を発表し始めた頃はずいぶんと影響を受けました。何年か前のBBA主催のOGCでそれを紹介したのを覚えています。(何年も前なので、何を話したのかはちょっとうろ覚え)

    カストロノヴァなどMMORPG研究人脈があの辺はまとまってますよね(参考文献やリンク先も含めて)。そうだ、4部類はバートルでした。
    World of Warcraftはずいぶんといろんな側面で研究対象になっているんですね。日本では、結局、ライセンスの問題でトラブって来てないので、今ひとつ、欧米圏で社会現象にもなった動きがわかりにくい部分はありますね。

    ジェスパー・ジュール(ゲームデザイン論の若手の論客として知られる)は、私は「Half-Real」を読んでないので、井上明人さんの解説を通じて知っている部分しかないので、なかなか、理解できているとは言えないのですが、彼のゲームデザイン論の対立軸もあるのですね。これは今後文献を読んでいく上で、興味深い指摘です。
    て、ゲームデザイン論の重要書籍として良くでてくる、「Half-Real」もどこかの会社の方、翻訳出版して下さい。井上さんは、すでに輪読でないよう理解されているので。

    Haloについて書かれている部分も興味深かったです。日本からは今ひとつピンと来ないのですが、Haloがアメリカ文化にどのような影響を与えたのかという2が出た後に出た、「Halo Effect」というエッセイ集のアンソロジーが出版されており(ただし、Haloファンからの評判はすこぶる悪い)、さらにその後の「3」の影響を感じ取ったりしました。

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  4. 上記記事でも参照しているソニア・リュボミアスキーの著書の日本語訳『幸せがずっと続く12の行動習慣: 自分で変えられる40%に集中しよう』が2012年に出ました.
    また,彼女やチクセントミハイ,セリグマン,リチャード・デビッドソンら研究者も出演するドキュメンタリー映画「HAPPY - しあわせを探すあなたへ」も日本上陸しています.

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  5. FoldIt(p.343)の院生が世界最大最古のコンピュータ学会であるACMから2011年の博士論文賞を受賞しました.

    [学会告知] Doctoral Dissertation Award Honors Innovator of Scientific Discovery through Video Games
    http://www.acm.org/press-room/news-releases/2012/service-awards-2011

    [大学新聞] Foldit Earns Student A National Award
    http://dailyuw.com/news/2012/may/16/foldit-earns-student-national-award/

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