2013年11月25日月曜日

国際学会 FDG2013 参加報告 (下)

国際会議FDG2013参加報告の後編です.前回からずいぶん時間があいてしまいました. 都会から遠く離れた会場で,発表数を厳選してあえて小規模で開催されるこの国際会議について,その歴史,講演,ワークショップなどを紹介してきました.今回はしめくくりとしてデモセッションと博士コンソーシアムなどについて報告します.

2013年9月4日水曜日

国際学会 FDG2013 参加報告 (中)

ゲームの産学連携を目的とする国際学会FDG(Foundations of Digital Games)について,前編の記事ではその成り立ちについて紹介した.今回の中編では,いよいよ国際会議FDG2013のプログラムに即した参加報告に入る。

2013年7月30日火曜日

オバマ政権を支えるゲーム専門家(追記)

オバマ政権は(それ以前の政権とは異なり)ゲームを批判するのではなく,有効に活用したいという意向を持っていた.しかしそれまで大統領府にも議会にも省庁にもゲーム産業との協力関係がなかったため,ゲームの効用についてオバマ政権にアドバイスできる外部の人材が必要とされていた.

アドバイザの役割

アメリカでは第二次世界大戦のころから,科学やハイテクの専門家が中立的な視点からアドバイスを行い,大統領の意思決定を支援する「科学技術政策アドバイザ」という役職が存在する.ただし日本ではこの科学技術アドバイザのイメージが非常に悪い.原水爆開発において果たした科学者の役割(ナチスドイツから逃れてアメリカ大統領に原爆開発を進言したり,冷戦時代の核開発競争にも影響を与えた物理学者)のイメージはいまでも強いし,さらに日本国内でも原子力発電所の安全性を宣伝した学者の前例もある.ようするにゲームに出てくる悪の科学者のイメージです。
 こうした科学者不信に応えて,オバマ政権では科学技術アドバイザの選任や議事は迅速に公表されており,ゲーム産業についてもホワイトハウスでどういう会合があったかは公開され,会合がない場合はスタッフがブログで情報を開示して透明性を確保しようとしている.本記事ではそうした公開情報からホワイトハウスにおけるゲーム専門家の活動を紹介したい.

2013年6月23日日曜日

国際学会 FDG2013 参加報告 (上)

この5月にゲーム研究の国際会議のひとつである「Foundation of Digital Games」(以下,FDG)に参加してきた.ゲーム産学連携の上で大きな役割を果たしてた同会議の歴史をひもときながら,ゲーム研究の国際会議について紹介したい.

はじめに: 国際会議の目的

学校ごとにそれぞれ異なる目標があるように,学会にはそれぞれ独自の目標があり,ひとつの学会ですべての目標を実現することはできない.たとえば巨大な会議場に数千人・数万人規模の参加者を集める巨大な大会もあれば,100人程度が一つの建物で議論する会議もある.投稿された論文を出版することで成功したと言える学会もあれば,論文にまとまる前の現在進行中の最新動向を集めることを目指す学会もある.産学連携に熱心な学会もあれば、あえて産業化に向かわない学会もある。 今回報告するFDGは,デジタルゲームにおける産学の連携をテーマにしてはじまったという点でユニークな国際会議である.

2013年5月30日木曜日

Global Game Jam 2013: 4ヶ月後の振り返り (前編)

 IGDAの年中行事,Global Game Jam が今年も1月末の週末に開催された.本ブログでのふりかえりが遅れてしまったが,その間にもサウンドゲームジャム(4月20, 21日),郡山ゲームジャム「FUSE」(毎月),宮城ゲームジャム「CORONA」(6月16日),福島ゲームジャム(8月3, 4日)と日本国内でのゲームジャムが立て続けに開催され、いまも参加者を募集している. 次のゲームジャムに備えるためにも,駆け足でGGJ2013を振り返りたい.

2013年3月25日月曜日

GDC2013アカデミック・プレビュー

 今年もサンフランシスコでGDC(ゲームデベロッパーズカンファレンス)が開催される.これまでIGDA日本では毎年学生向けのスカラシップやサイト日本語訳を通じてGDC情報を提供してきたが,本記事では翻訳では伝えられない背景も含めてアカデミック関連のプレビューをお届けする.

研究・教育機関とGDC

もともとGDCはゲーム開発者の集まりだったが,現在では研究者や教育者といったアカデミックなコミュニティからGDCに参加する人も多い.もっともわかりやすいのは,業界に就職したい学生や,社会で活躍する人材を送り出したい学校の参加である.その中にはGDCの有料ブースに出展する専門学校もある。それらの展示もGDCの一部ではあるが,本稿では範囲を限定して、プロの開発者向けの研究機関・教育機関からの発表に注目介したい.

歴史的な発展

2013年1月31日木曜日

Global Game Jam 2013: 終了後のふりかえりアンケート

 第5回 Global Game Jam が終了した.週末にアップロードされたゲームはすべて自由にダウンロードして遊び,コメントをつけることができる.はやくも海外メディアでとりあげられたゲームもあるし,北海道新聞などでも報道されたようだ.ゲームの新バージョンの追加も許可されているので(it is okay to upload a new version),さらに手を加えているチームもある.また今年は都内でゲームパーティーが開かれるこのことで,GGJ終了後もまだ熱気は続いている.
 さて,そのGlobal Game Jam終了と同時に,GGJ研究委員会(GGJ Research Committee )から事後アンケートの依頼が行われている.ゲーム開発に参加した人なら,先日の事前アンケートに回答していなくても事後アンケートだけの回答もできる.また,英語が苦手な方は自由記述の質問は空欄のままで,選択式の質問だけ回答しても構わないのでぜひ回答してほしい.
以下にアンケート質問の日本語訳を掲載する.

2013年1月25日金曜日

Global Game Jam 2013: 世界最大のゲーム開発者調査もはじまる

昨年末にお知らせしたように,今年のGlobal Game Jamがまもなくはじまる(いまはニュージーランド会場がオープンしたところだ).今年の開発テーマはハワイ会場がスタートする明日までネットで公表できないが,すでにチャレンジのための課題として「GGJ Diversifier system」が発表されている.ゲーム開発者の人材育成の世界的なリーダーも関わっているだけに,学生からベテランまでチャレンジしがいのある課題になっている.
 今回は,スポンサーからの特典も増え,国内企業の参加も増えて,本物の開発ツールをつかったゲーム開発体験ができるようになっている. すでに参加者に向けて,オンラインの事前アンケートがはじまっているので紹介しよう.これはGGJに参加する世界中のゲーム開発者を対象とした調査で,世界各地のゲーム研究者がチームを組んで進めている.ゲーム開発がはじまるまえから製品リリースまで追跡するゲーム研究者はまだ少ないので,GGJを機にゲーム開発現場に注目する研究者が増えることが期待される. ただしこのオンラインアンケートは英語なので,以下に質問項目を日本語に訳してみた.参加者の方は会場準備の時にでも記入してほしい.