2011年11月20日日曜日

Googleによる中高生向けの開発参加支援 Google Code-in はじまる

Google Summer of Codeに続く新たな取り組み

オープンソースソフトウェアやフリーソフトウェアの開発に参加する学生を対象として,Google社が奨学金を出す夏のイベント「Summer of Code」については昨年の記事で紹介した(「オープンソースのゲーム開発とGoogleの奨学金」, 2010). メールやチャットでベテランの指導を受けながら,夏休みの間に自宅でソフトウェア開発に取り組むことで何十万円かの奨学金を獲得できるというこの試みは,世界各地の学生にインパクトを与えた.課題を出すプロジェクトの分野もさまざまで,OSからプログラミング言語,そしてゲームのマップ作成まで含まれる.今回はその拡大版とも言えるGoogle Code-in について紹介したい.

2011年11月11日金曜日

ゲーム教育の大学間競争 (下)

前回の記事では,北米の大学および大学院での高度なゲーム教育プログラムが増えていることを紹介した.今回の後編では,各地の大学の取り組みと日本からの参加について解説する.

2011年10月31日月曜日

Reality is Broken 勝手にブックガイド

ジェイン・マクゴニガルによる話題作Reality is Brokenの日本語訳『幸せな未来は「ゲーム」が創る』が今月出版され,早くも反響を呼んでいる.
これまでにシリアスゲームジャパンでの翻訳者による紹介だけでなく,日経新聞電子版の書評やエキサイトレビューのくだけた書評も読むことができる.これ以外にも,著者を「NHKスペシャル 世界ゲーム革命」(「ゲームレボリューションII 賢者の予言」)の放送で見た人も多いだろう.

2011年10月13日木曜日

速報: Global Game Jam 2012 会場登録はじまる

2012年1月末の週末に開催される世界同時多発ゲーム開発イベント「Global Game Jam 2012」の会場募集(site application)が今週からはじまった

2011年10月10日月曜日

ゲーム教育の大学間競争 (上)

本ブログではこれまで「ゲーム研究の教科書」(2009年9月)「大学のゲーム講義をダウンロード 」(2010年1月)をはじめとする国内外の大学でのゲーム教育を紹介してきた.
日本国内でも,東京工科大,東京工芸大,神奈川工科大,大阪電気通信大,立命館大学などが単発の講義にとどまらない体系的な教育に着手しているし,多くの専門学校が4年制のカリキュラムを設置して高度な教育に取り組んでいる.しかし,どの学校がどれだけすぐれた教育を行なっているのかは分からない.世界各地の大学でどれだけのゲーム専攻が新設され,世界の学生はどのようにして進学先を選んでいるのだろうか.

2011年4月28日木曜日

PSN事件と今後の展望

事件の規模

すでに報道されているように,攻撃を受けてサービスを停止していたSony PlayStation Network(PSN)の全ユーザのデータが流出した可能性があると27日に発表された.全ユーザ7700万人分という規模の流出があったとすればアメリカで過去に起こった1億3000万件のカード番号盗難にせまる最大規模の被害となる.しかも今回はクレジットカード情報だけでなく全ユーザの氏名,住所,メールアドレス,誕生日,パスワード,ハンドルネームが含まれており(どのような形で暗号化されているかは不明),クレジットカード情報以上の利用価値がある.また「36カ国、22通貨、12言語」という全世界サーバ(日経ビジネス, 2010年3月2日)からの流出は前例がないもので,消費者保護先進国の政府機関も動きはじめたことで,個人情報保護の歴史の上でも大きな事件となる可能性が高い.

2011年4月19日火曜日

国際学会の開催動向: 2011年度プレビュー

ゲーム研究は多くの分野にまたがっているため,ゲーム研究開発に携わる者も複数の学会に所属する場合が多い.そして学会が開く国際会議には世界各地の専門家が集まり,最新の成果が発表されるとともに活発な交流が行われる.今年度はどのような国際会議がゲームに関する研究を募集しているのだろうか.

2011年4月16日土曜日

2010年度のゲーム研究を振り返る: つながるゲーム研究

2010年のゲーム研究を振り返ると,ボーダーレス化が進んだという個人的な印象がある.ゲーム研究は多くの分野にまたがるために研究の中心も分散している.このために自由度が高いとも言えるし,研究アジェンダを放棄して内輪受けに走っていると批判されることもある.しかし個人的な印象ではあるが、2010年はゲーム研究の分散だけでなく接続も促進された一年だった.たとえば普段は見向きもされないゲーム研究がある日注目され,研究者以外の広い層を巻き込んだ議論がネットで続く,という現象が見られた.

2011年3月26日土曜日

Google Summer of Code 2011: 夏休みのプログラミング奨学金

Google Summer of Code は,Google社がオープンソースソフトウェア開発プロジェクトを選定し,その開発に参加する学生に奨学金を提供する夏期プログラムである.今年もまた採択されたプロジェクトが発表され,世界各地の学生がプログラミングの腕試しとして応募先のコミュニティを巡回しているところだ.

2011年2月21日月曜日

Global Game Jam 2011 を振りかえる

1月末に開かれた Global Game Jam 2011 は史上最大の開発イベントとなった.週末の間に世界中で数千人の参加者が各会場で開発チームを結成し、与えられたテーマに基づいたゲーム制作に取り組み,1500作品が公開された。
各会場によって運営ポリシーは柔軟に設定できるが,IGDA日本では昨年から世界的なゲーム開発拠点の様子を紹介するなどして,学生と社会人とがコラボレーションできるような会場運営を支援した.またUstream中継などでコンピュータの経験がない人でも独自のスキルで参加できることもアピールした.その結果,日本国内の3ヶ所で即席の混成チームによる濃密な開発の場を出現させることができた.
以下では、期間中からの記事をまとめて紹介する.さらに(読み通すには分量が長くなるが)これから開催される報告会や,今年の新動向についても述べたい.

Global Game Jam 2011 報告会のお知らせ (2/25, 3/1, 3/9, 3/10)

IGDAとACMが1月末に開催したGlobal Game Jam 2011は、過去最大のゲーム開発イベントになりました。IGDA日本および同アカデミックSIGでもこのGlobal Game Jamの開催を推進してきましたが、国内でも過去最大規模のGGJとなりました。特に今年はプロ・セミプロの開発者がGGJ会場の全日程に参加したことで,これまでの学校教育や社内研修の枠を越えた新たな学びの場を実現できました.東京・札幌・福岡の会場運営者,参加者,そして支援していただいたサポーターのみなさまにお礼申し上げます.

以下に、東京会場を開設した東京工科大学と日本工学院のグループによるGGJ成果報告会のお知らせを転載します.今回は,先進校の取り組みを全国に広げるという文部科学省事業の趣旨にそって,札幌,東京,大阪,福岡と全国の大都市で報告会が開催されます.教育関係の方もゲーム開発に興味のある方も、ぜひ最寄りの会場にお越しください.

2011年1月30日日曜日

Global Game Jam 最終日: 濃密な体験

本ブログで昨年1月より紹介してきた Global Game Jam 2011が現在世界各地で開催中である.開催までに各地で予想を越える参加者が集まった.24時間経過時点で福岡の九州大学会場が79人,八王子の東京工科大学会場が75人,札幌の北海道大学が34人と各会場に多くのゲーム開発のプロ、アマ、そして志願者が集まった.

2011年1月26日水曜日

Global Game Jam 2011 直前情報

世界規模の同時多発ゲーム開発イベント,Global Game Jamがいよいよ今週末に迫っている.IGDA日本でも国内の各会場と協力して準備を進めており,その経過はすでにIGDA日本の専門部会やTwitter, Ustreamでも伝えられているが,ここではそれらの最新情報を整理するとともに,参加者の準備および非参加者への情報配信の両面から直前情報を紹介したい.

2011年1月5日水曜日

IGDA Education Connect: IGDAの2011年の新たな取り組み

アメリカのIGDA本部では,2010年から新体制になり,これまでの組織の見直しを行っている.アカデミック分野でも,これまでボランティア主体でやっていたプロジェクトが職員が担当する公式なプロジェクトになるといった変化が起きている.
この変化は,これまで基本的に開発者個人を支援する団体だったIGDAが,公共教育における社会的な役割を求められていることも意味する. 以下,本記事では2011年に新たに告知されたIGDAの取り組みについて紹介したい.