2015年5月5日火曜日

ゲームサウンド研究の成立

新世代のゲーム研究: ゲームサウンド編

2010年代前半のゲーム研究でもっとも成長したのはどの領域だろうか.数年前には学問として成立していなかったのに,いまでは数多くの研究論文が生み出される分野もある.その代表として,ゲームサウンド研究をあげることができる.
 当ブログで2014年の研究シーンを振り返る「2014年アカデミックレビュー: 新世代のゲーム研究(前編)」を書いた時に,後編ではゲームデザインの「ナラティブ」,そしてゲーム音楽の「ダイジェティック」をとりあげると予告していた.このうちナラティブについては昨年に起こった用語の輸入が国内に混乱をもたらしたため,独立して「ゲームナラティブ教育の過去・現在・未来」として,ナラティブはバズワードではなく体系的なゲーム開発者教育の中核(必修科目)に位置づけられること,数年前から世界各地の学生がナラティブ分析を競ってきたことを紹介した.本稿では,残りのダイジェティックについてゲームサウンド研究の成長とともに考えてみたい.