ラベル レビュー の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル レビュー の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2023年1月23日月曜日

2022年アカデミック・レビュー

主筆の山根です.これまでゲーム研究や高等教育で大きな出来事があった年は年間レビュー記事を書いていましたが,このところ本ブログではICD-11論争や香川県条例といったリアルタイムの社会問題にリソースを割いていたためにアカデミックなふりかえりが止まっていました.そこで,ここ2, 3年間をまとめてゲームのアカデミックな話題をふりかってみたいと思います.

2020年から2022年にかけて,ゲーム研究の出版は国内外でもりあがりました. 

2020年12月22日火曜日

書評『ゲームエンジンアーキテクチャ 第3版』

幹事の山根がIGDA日本のウェブサイトに「書評『ゲームエンジンアーキテクチャ 第3版』: 待望の日本語訳がひらく次世代ゲーム開発」を掲載しました.ベテラン開発者が実務家教員として大学で教えることで作られた本書は,実務家教員の役割と意義がわかる一冊です. 

 

2020年6月1日月曜日

パンデミック下の不安に応えるゲーム専門家

ブログ主筆の山根です. 前記事「GGJ20以後のゲームジャムシーン 」では,大きなゲームジャムがオンラインに移行することで国境を超えたチーム開発経験を積めるようになったことに注目しました.ゲームジャムはこれからも貴重な開発体験を積む場所になるでしょう.その一方で,ゲーム開発以外の人たちにとってパンデミックはどのような変化をもたらしたのでしょうか? 本記事では,ゲーム開発者以外の動向に注目し,パンデミックに伴う外出禁止がゲームにもたらした変化をまとめます.

2020年5月25日月曜日

GGJ20以後のゲームジャムシーン

ブログ主筆の山根です.この4月から東京国際工科専門職大学のデジタルエンタテインメント学科に移り,4月から授業スタートしましたがまだ学生とは直接会っていません.さて,本記事では1月末のGlobal Game Jam 2020 をふりかえるとともに,その後のゲームジャムシーンをまとめたいと思います.

2018年7月28日土曜日

ゲーム研究の重要論文を一望する: Video Games and Gaming Culture (2016) の試み

アカデミック・ブログ主筆の山根です.
 本記事では、人文科学・社会科学分野の大手学術出版社、ラウトレッジ (Routledge)が出版した全4巻の論文集『ビデオゲームとゲーミング文化』を紹介ます.簡単な紹介のあと、収録論文90本にオンライン版・日本語訳があれば追記し、最後に特徴と活用法についても私見を述べます.

紹介

Mark J. P. Wolf 編『ビデオゲームとゲーミング文化』Video Games and Gaming Culture(ハードカバー4巻本)

本書は、各分野の重要論文を収録して出版するCrtitial Concepts(重要概念)シリーズの「Critical Concepts in Media and Cultural Studies」の一冊(4巻本)である.編集しているのは、これまでにもゲーム研究の論文集をいくつも編集しているベテラン研究者Wolfで、本記事執筆時点ではゲーム研究の重要論文集成の決定版と言える.

2018年2月11日日曜日

2017年アカデミックレビュー: ゲーム教育への投資

アカデミックブログ主筆の山根です. 遅くなりましたが、2017年のゲーム研究シーンをふりかえってみたいと思います.

GDC2017とHEVGA (2017年3月)

  2017年3月のGDC(Game Developers Conference)にはゲーム研究の大物がかなり集まりました.というのも、GDCの開催に合わせて会場周辺でHEVGA(HigherEdGames.org)の会合や授与式が開かれたためです.

2016年2月6日土曜日

2015年アカデミックレビュー

毎年1月の Global Gaem Jam も終わり,ここで2015年をゲーム産学連携から振り返ってみたい.

学術出版と商業出版のボーダーレス化

2015年は国内でゲーム研究関係書籍の問題作が出版された変化の年だった.主な書籍をあげてみる。
  • 『妖怪ウォッチが10倍楽しくなる本: 妖怪ウォッチのゲーム・アニメ学』
    ゲーム研究の成果を駆使した本がまさかの三才ブックスから出版された.よくある謎本かとおもったら、「イェスパー・ユールの理論に基づく考察」とか「日本でゲーム研究を専攻できる大学院・大学リスト」とか書いてあるギャップがすごい。情報源の記載も充実しており、これは2015年に国内で出たゲーム学・ゲーム研究書でもっとも丁寧に書かれている。
    海外では、ゲーム研究書を出す学術出版社の競争が活発だ。たとえばMIT出版は,ゲーム研究書や教科書を単発で出すだけでなく、Platform StudiesGame HistoriesPlayful Thinkingというゲーム研究シリーズを並行して出しており、それぞれ来年までの刊行予定が組まれている.
    これに対して,日本ではゲーム研究の出版を担ってきたのは学術出版社ではなく,ファンブックや雑誌の出版社だった.しかし「ゲームサイド」シリーズが休刊したように,ゲーム研究の成果出版はファンに買ってもらうだけでは支えきれなくなっている.この状況で商業出版のカジュアルなパッケージに学術的なアプローチを組み込んだ妖怪ウォッチ本が出たのは注目に値する.
  • 中ヒットに導くゲームデザイン
    まず邦題がひどい.原題は「Game Design Workshop: A Playcentric Approach to Creating Innovative Games 」で、副題もふくめ書名に大胆な味付けが行われている.原著はもともと大学で使われているゲームデザインの教科書だ.翻訳されたのは教科書の新版で、旧版は世界ではじめてゲームジャムについて解説していた先進的な内容だった.新版はそうした先進性は減ったが定番教科書らしい手堅い内容になっている.
    中心的な著者であるフラートンは,全米屈指のゲーム開発者教育者としてニュースでも報道される超人気教授だ。そして原著副題の「Playcentric Approach」とは、彼女らが国際学会で提唱したゲーム開発者教育のアプローチだ.これは学会を通じて世界各地の教育機関に影響を与えリスペクトされているので、なぜ翻訳しなかったのか理解に苦しむ.
    先に述べたように,日本にはゲーム学の成果の出版は、専ら雑誌の出版社によって支えられてきた.しかしこの体制では、新書レベルならともかく大学教科書を訳すのは難しい.一学期かけて読むような体系的な書物なので、訳す側にも一学期かけて読者に教えるような労力が必要になる。しかし本翻訳では大学教科書をあえて翻訳者一人だけで訳し、学者のチェックなしに出版している。この試みは無謀ではないか.本教科書のアプローチはもともと国際学会で討議されたものなので、ゲーム開発者教育の先駆者をリスペクトしている研究者に相談すれば翻訳の質はかなり向上したはずだ.国内大学でも英語教科書でゲーム学を教えている教員もいるので,IGDA日本などに相談した方がいい.
  • イェスパー・ユール『しかめっ面にさせるゲームは成功する』、バーナード・スーツ『キリギリスの哲学』
    人文系の学術書が翻訳されたのも2015年に起こった新たな動きだった.この2冊のうち、前者はやはり研究者抜きで翻訳するという無謀な出版だったが,かろうじて「類書のなかではかなりましなほう」という評価を得ている.
    また後者は研究者による翻訳で,欧米のゲーム研究ではよく引用されている書物なのだが、日本語でも議論に使えるようになったのはありがたい。欧米のゲーム研究者は様々な分野の知見も駆使しているが、日本でもそうした分野越境のきっかけになるのではないか。ゲーム研究だけでなく文化面でも注目され、 新聞の書評にもとりあげられている. 

2015年5月5日火曜日

ゲームサウンド研究の成立

新世代のゲーム研究: ゲームサウンド編

2010年代前半のゲーム研究でもっとも成長したのはどの領域だろうか.数年前には学問として成立していなかったのに,いまでは数多くの研究論文が生み出される分野もある.その代表として,ゲームサウンド研究をあげることができる.
 当ブログで2014年の研究シーンを振り返る「2014年アカデミックレビュー: 新世代のゲーム研究(前編)」を書いた時に,後編ではゲームデザインの「ナラティブ」,そしてゲーム音楽の「ダイジェティック」をとりあげると予告していた.このうちナラティブについては昨年に起こった用語の輸入が国内に混乱をもたらしたため,独立して「ゲームナラティブ教育の過去・現在・未来」として,ナラティブはバズワードではなく体系的なゲーム開発者教育の中核(必修科目)に位置づけられること,数年前から世界各地の学生がナラティブ分析を競ってきたことを紹介した.本稿では,残りのダイジェティックについてゲームサウンド研究の成長とともに考えてみたい.

2015年1月1日木曜日

2014年アカデミックレビュー: 新世代のゲーム研究(前編)

本稿では2014年の国内外でのゲーム研究(体系的な学問としてのゲーム学)をふりかえりたい.(あくまで個人的な観測にもとづくものなので、数年前から続いていたものでようやく筆者の目にとまったものも含まれている.)

ゲーム教育番組の高度化