2019年3月17日日曜日

2019年プレビュー後編: 誰が教育者を教育するのか

新たな動向: 存在意義を発信する教育機関

ブログ主筆の山根です.前回の前編記事では、2000年代にデジタルゲームが学問の対象となり、一部の先進校だけでなく国際学会をあげて整備されてきた歩みを紹介しました.こうしてゲームが人生をかけて学ぶに値する学問になって、ゲーム開発者教育はこの先どこに向かうのでしょうか.まず考えられるのは、本ブログでもたびたび紹介してきたように、各国でゲーム研究を看板にした大学・大学院の競争が活発になる.この競争にもいろいろな評価基準があり、どれだけ人材育成予算を獲得したか(たとえば2019年2月、イギリスでは新たに60人のゲームAIの博士課程の大学院生を雇用すると発表した)、どれだけ大きな研究拠点を作ったか(フィンランドでは公立のCoE (The Centre of Excellence in Game Culture Studies)を設置した)、そして調査会社がつくったランキングの順位を競う競争(昨年の本ブログ記事でも紹介)もある.しかし、こうした競争だけでは学問の発展は説明できません.競争する一方で、ゲーム教育機関は国境を超えて同じ目標を掲げて足並みをそろえています.
 2019年は学問としてのゲーム教育機関がその存在意義を発信し、評価を受ける年になると考えています.この後編の記事では.今年2019年に開催されるイベントから新たな取り組みを展望します.