2014年5月13日火曜日

Global Game Jam 2014 ふりかえり

転職などで主筆の記事の更新が滞っていましたが,再開します.まずは1月末のGlobal Game Jam 2014について。

国内報道

今回のGGJ14でも同様に北は北海道から南は沖縄まで,数多くの国内会場が開設されました.
それにともない,社会的な認知もかなり進んだと思われます.以下は当方が観測した範囲での国内報道一覧です.各会場をカバーしきれなくなったことで,密着取材の記事が増えています.

世界的な傾向

巨大会場の登場

全世界では,GGJ2014では72ヶ国の488会場で23197人の参加者を集めた. さらに,(これも昨年からの傾向だが,)海外では事前セミナーや事後イベントつきで巨大会場が設置される動きが目立った. たとえばバンクーバー市内には数ヶ所のゲームジャム会場ができたが,そのうち最大のVancouver Global Game Jamでは,1月11日に事前ワークショップ(Unity講習)を開いたあと,1月末にGGJで350人以上の参加者を集め,さらに2月22日に事後ワークショップ(ピザ提供: Microsoft)を行っている

このバンクーバー会場の参加者をさらに上回る大規模な会場も出現した。(まさかGGJで参加者数が多い会場ベスト5にイスラエルやブラジルやエジプトの会場が入るとは思わなかった. )
南米やアラブではゲームジャムに集中的に投資することで,急激にゲームジャム大国化してゲーム開発者がその腕を磨いている. たしかにどこの国でもエキスパートの数は限られているので,大都市の巨大な会場に開発者を集めることで効率よく学ぶことができる。だが,大きい会場は運用のコストがかかる.週末に空調や数百人の食事を安定供給するのは容易ではないが,そのような困難を乗り越えて巨大会場開催にこぎつけた会場スタッフの努力は素晴らしい.

フリーカルチャー運動とGGJ

Global Game Jamは昔から,非商用利用に限りソースコード配布を許可するクリエイティブ・コモンズのライセンスを使ってきた.GGJではじめて著作者として自分の名前でライセンスをつけたというゲーム開発者も多いだろう.(GGJ2014のライセンス登録方法 参考訳)
このためGGJはクリエイティブ・コモンズでは世界最大のイベントであり続けたが,このクリエイティブ・コモンズライセンスの設計を担った若手ハッカーであるアーロン・シュワルツが2013年に26歳の若さで自殺した(彼の書いたいくつかの文章はyomoyomo氏による日本語訳が読める).そして彼の悲劇的な死を受けてGlobal Game Jam 2014では,ゲームジャム作品の挑戦課題の一つに,「アーロン・シュワルツのためにパブリックドメインの素材だけでつくる」という項目が設けられた.これはネットメディアにもとりあげられ,この課題だけで200以上のGGJ作品が発表された.このようにGGJ14はゲーム開発とフリーカルチャー、ハッカー文化が重なるイベントでもあった。

ただし,クリエイティブ・コモンズライセンスの中でも配布制限のあるライセンスをGGJが採用することで,GGJで自由なフリーソフトウェア向けのサービスを使ってよいのかという議論はこれまでにも行われていた.その代表だったのがGithubだが(本ウェブサイトでも2011年はGutHubではなくDropboxやAssemblaを勧めていた),Githubのポリシー変更により2012年からGithubを使ったウェブゲームコンテストGitHub Game Offを開始し,2013年にはGithubは公式にGlobal Game Jamでの利用も推奨しはじめた.さらにGGJ14では公式スポンサーにもなったことで,プログラマが多い国内会場ではGithubが利用されたようだ.

その他のまとめ

この他にもGGJ14には多くの物語があった.残念ながら本稿ではその一部しか紹介できなかったが,以下の記事も異なる切り口でそれぞれ参考になった.
  • GGJ Newsletter #1. GGJ13報告でも触れたエジプト会場急成長の裏話など.
  • Indie Statik による Global Game Jam 2014 Highlights - Part 1
    しっかりしたGGJ作品紹介.このシリーズでは日本の作品もとりあげられている.
  • UnityがGGJの50%はUnity製,とアピール
  • EDGE誌も報じているように,Oculus RiftもGGJ14に新たな切り口を与えた.
  • GGJ14に音楽担当で参加したIan FaleerがGGJ14提供曲だけでアルバムを制作し公開した.
また,いくつかの海外会場の運営者とは3月のGDC14でも会うことができた.世界各地の会場運営者の方々に感謝したい.

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