2014年1月24日金曜日

Global Game Jam 2013 から Global Game Jam 2014 へ

いよいよ本日からGlobal Game Jam 2014がはじまる.本ブログではGlobal Game Jamについて5月に前編を書いたあと,時間が空いてしまった.本記事では後編として、GGJ2013のふりかえりとGGJ2014の展望を駆け足で行いたい.


国内会場と新興国の会場

前回記事で書いたように,GGJ2013では国内の会場数が増えて,IGDA日本でも紹介しきれなくなってしまった.それまでは,Global Game Jamの会場を開くのはすでにCEDECやIGDA日本のイベントに積極的に参加している人が多かったが,GGJ2013からはゲーム開発者のコミュニティ活動がそれまでなかった地域にもゲームジャムの会場ができて,はじめてコミュニティがたちあがるという現象が起こった.(たとえば,GGJ郡山会場で旗揚げをおこなったIGDA東北.)

これはGGJの発達を示すようだが,多くの国では異なる発達をしている.前回記事で書いたように多くの国ではいきなり数百人の巨大会場が出現して,そこに全国から参加者が集結するという現象が見られた.この巨大会場形式でのゲームジャムは,GGJのそもそものモデルになったNordic Game Jamからはじまっている.Nordic Game JamはもともとはコペンハーゲンのデンマークIT大学とそこを拠点にしていたIGDAデンマークの産学連携イベントだった(最初のメインスポンサーには,地元のゲームエンジン企業であるUnityも名を連ねていた).が,やがて周辺諸国から国境を越えて開発者が集まる国際イベントになった.

そして前回記事ではエジプトなど新興国でいきなりメガ会場が出現したことを指摘したが,FDG国際会議でその運営メンバーと話したところ,エジプトやマケドニアなどの新興国ではコペンハーゲンからゲームジャムの会場スタッフを招き,国の新産業支援戦略としてGGJ会場を設置していた.

この様子は,Nordic Game Jamでも「Want to help bring Global Game Jam to new countries?」という記事になっている.まるでヨーロッパから新大陸をめざした大航海時代のように、コペンハーゲンはゲームジャムで世界各地に進出しようとしている.そして同時に,コペンハーゲンに世界各地からゲーム開発を学ぶ留学生が集まってもいる.

多様な国内会場

こうしたNordic Game Jam派生のゲームジャム会場に匹敵する国内会場としては東京工科大学会場があげられるが,それ以外にも大会議室サイズから民家サイズまで,中小規模のゲームジャム会場が各地にできるのが日本の特徴だと言える.

日本のGGJ2013では,これまでのようにビデオ中継を行ったが,北は北海道から南は沖縄までと会場の気候の違いがはっきりと出ていた.沖縄会場は太陽がまぶしく福島会場では吹雪.ここほどまでに国内会場間の気候が異なるのは日本以外にはアメリカくらいではないだろうか(ニューイングランドからハワイまで会場ができた).たとえば日本国内でも日没時間が違うし,福島会場では豪雪で電車が運休して,電車で通っていた参加者が2日目は来場を断念した.

GGJ Radioとクラブカルチャー的ゲーム文化

GGJ13では新しい試みとしてインターネットラジオのDJを募集していた.これはGGJ専用のストリーミング配信のサーバを用意して,世界各地のゲームジャム会場から送られる音楽配信を全世界中継しようという試みだ.各地のDJは,1-2時間の枠で楽曲や音声を配信できる.

最初のバンクーバー会場DJからはいきなりトランスでレイブ状態.しかし会場ネットワークが低速のために障害が起こり,配信の音質を落とす.ブラジルはクリチーバの会場からポルトガル語DJ.そしてフィンランドのタンペレ大学に続き,マドリード会場DJはBackToYourFuture!と題してレトロゲームミュージックで構成するこだわりの番組プログラム.またイタリアではわざわざDJブースをゲームジャム会場につくったり楽しませてくれた.日本からは私が福島会場よりLinuxマシンでフリーソフトウェアを使ったDJをやってみた。会場参加者から提供された楽曲をプレイした他,即興で福島のレポートをしたが,海外のDJは(上記バンクーバーのFJのように)本当に開発現場で配信しているのかというくらいテンションが高かった.

こうした海外のゲーム開発者のノリの違いについては、今月のファミ通.comの座談会でもとりあげられていた。「海外のインディーズの状況と、日本のインディーズの状況に、どういう違いがあると思いますか?」という質問に対して,「みんな、よく遊びますね。海外の方は」「クラブカルチャーに似てますね」という発言があるが,GGJ Radioではまさにゲームジャムをクラブイベントのように楽しんでいる層がいるという印象を受けた.

GGJ2014でもGGJ RadioのDJ募集をやっており,全会場がオープンする頃にプログラムが公開される予定だ.

GGJ2013の反響

ゲームジャムは開発後の相互評価やメディアの反響も楽しめる. たとえばギークハウス武蔵小杉会場では1MinLifeが英語メディア紹介された.

また札幌会場では北海道新聞朝刊に報道された.前回記事で見たようにウェブ媒体での記事は多いが,従来のマスメディアでGGJ会場が報道されたのは,東京工科大学会場にNHKスペシャル取材陣が来たり,新聞を見て福岡会場に市長が来訪したGGJ2011以来ではないかと思う.また札幌会場はGGJ13での開発をふりかえる記事もまとめており,ふりかえり学習の効果が高いイベントになっている.

さらにGGJのプロトタイプによってKickstarterでスポンサーを集めたり製品化までこぎつけた事例も珍しくない.代表的な事例はGGJ NewsletterのGlobal Game Jam 2014直前号でも紹介されている.

そしてGGJ14へ

そしてGGJ14がまもなくはじまる.今年は73ヶ国485会場を数え,国内会場も新たな会場が増えている.また、ライセンスを提供するスポンサー企業も揃っている。海外ではGamasutraでも"Why Everyone should participate in the Global Game Jam", "Global Game Jam 2014: Do's and don't" といったブログを掲載する他,各国でそれぞれの言語でニュース記事が出ている.

参加しない人も,金曜日夕方からの国内会場の現場中継を見たり,2月10日に東京都渋谷で予定されてりる「GGJ2014プレイパーティ/ロケテショウ出張所」に参加することもできるので,ぜひご期待ください.

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