主筆の山根です.私事ですが,この4年間はゲーム開発者の専門職大学の立ち上げに参画しました.そのためこの4年間は学術論文よりも,翻訳・対談・一般書を主にやってきましたが,最初の卒業生を送り出したことで,2024年度からはゲームの高度専門家人材育成を大学から日本全国へと広げていきたいと考えています.今回はその次世代ゲーム開発者を待っている問題の一つとして,2022年から起こっているゲームデベロッパーの環境問題への取り組みを,GDCなどの国際的な変化を中心に紹介します.
IGDA日本のアカデミックブログです。研究・教育・人材育成・学会動向といった学術系情報を発信・蓄積していきます。ゲーム産業における学から産の、風とおしのよい窓口になればと思います。学術活動の情報発信でIGDA日本に協力して頂ける方は、IGDA日本(academic(アットマーク)igda.jp)担当山根までご連絡ください。また、ゲーム関係者は、是非、ご講読して役立ててください。また気軽にコメントください。それでは、よろしくお願いします。 ※このサイトに書かれている内容は、各執筆者の個人的な意見・見解であり、IGDA日本の公式な意見ではありません。
主筆の山根です.私事ですが,この4年間はゲーム開発者の専門職大学の立ち上げに参画しました.そのためこの4年間は学術論文よりも,翻訳・対談・一般書を主にやってきましたが,最初の卒業生を送り出したことで,2024年度からはゲームの高度専門家人材育成を大学から日本全国へと広げていきたいと考えています.今回はその次世代ゲーム開発者を待っている問題の一つとして,2022年から起こっているゲームデベロッパーの環境問題への取り組みを,GDCなどの国際的な変化を中心に紹介します.
あけましておめでとうございます.
2024年1月の「令和6年能登半島地震」で被災された方々にお見舞い申し上げます.北陸地域は個人ゲーム開発に縁がある地域で,国内でもいちはやくゲームジャムを開催した石川県のGlobal Game Jam 2010 JAIST(北陸先端科学技術大学院大学)会場や,富山県魚津市の「UOZUゲームジャム」「デジタルからくり装置作りワークショップ」,名物にちなんだ『カニノケンカ』eスポーツイベントで知られる富山県射水市の「ToyamaGamersDay」と,ゲーム関係者がいくつもの足跡を残しており,無事を祈っています.
本記事では,1月末のGlobal Game Jam2024を展望します.
主筆の山根です.これまでゲーム研究や高等教育で大きな出来事があった年は年間レビュー記事を書いていましたが,このところ本ブログではICD-11論争や香川県条例といったリアルタイムの社会問題にリソースを割いていたためにアカデミックなふりかえりが止まっていました.そこで,ここ2, 3年間をまとめてゲームのアカデミックな話題をふりかってみたいと思います.
2020年から2022年にかけて,ゲーム研究の出版は国内外でもりあがりました.
世界最大のゲームジャムイベント,Global Game Jamが1月末から2月第1週にかけて開催される.本ブログではGlobal Game Jamの初期から報告を行ってきたが,本稿では直前プレビューを行いたい.
主筆の山根です.
過去記事「ゲーム学における最大の論争(上)」では,Gaming disorder(ゲーム障害,ゲーミング障害,ゲーム行動症などと訳されるが公式訳は未定)の決定的な根拠が立証されないままICD-11に収載されたこと,そして立証する者がいないまま専門家の間で統一見解が出なかったこと,それを受けてアメリカのゲーム業界団体では重要論文を速報しながら根拠にもとづく議論を求めたり,ゲーム開発者コミュニティ内では心理学博士人材が情報共有を進めていたことを紹介しました.今回は,さらに最新動向と日本の状況について展望と提言を行います.
今月2022年11月2日に,世界のゲーム業界団体がGlobal Video Game Coalition(GVGC)を立ち上げた.プレスリリースは以下の文章ではじまっている.
アカデミック・ブログ主筆の山根です.
毎年サンフランシスコで開催されるGDC(Game Developer Conference)は,世界最大のゲーム開発者のカンファレンスです.あまりにも大規模なのでどのセッションが「当たり」だったのか1社だけではカバーできず,企業を超えた情報交換も生まれています.IGDA日本が開催してきた現地でのパーティーや国内でのGDC報告会もそうした情報交換の場ですが,今年もコロナのために開催できません.そこで本稿では,情報交換をしていないやや特殊な視点から,「他ではできない体験」という観点から私的なふりかえりをおこないたいと思います.
今年のGDC22は,3月にサンフランシスコ現地開催とオンラインでのバーチャル開催とのハイブリッド形式で開催されました.数百件のセッションの中でも話題を集めたものは,公式ウェブサイトで紹介されています(Part1, Part2).また日本国内でもツイートまとめが作られたり,今年は過去のGDC参加者が新たなメタバース系に注目したGDC報告会も開催されました.本稿ではこれらの範囲をすべてカバーすることはできないので,国際学会でもIT系カンファレンスでもない,GDCならではの発表という観点から2つのセッションを選んでみます.