IGDA日本アカデミック・ブログ主筆の山根です.外部の視点から見るDiGRA2019プレビューの最終回は、Ritsumeikan Game Weekと国際交流について紹介したい.
ゲームウィークに向けて
いよいよDiGRA2019京都が来週にせまり各国のゲーム研究者が日本に向かっている.8月前半の猛暑の中の国際会議となってしまったが、会場校は夏コミなどの事例を参考にして、救急対応など万全の対応をお願いしたい(特にゲーム研究では北欧や南米の研究機関からの参加者も少なくないので).「京都が猛暑に襲われることはわかっていたのに、なぜこの時期にこの場所に?」と思われるかもしれない.それはDiGRA2019がRitsumeikan Game Weekの一つとして設定されたためだ.これはDiGRA2019の前後にIEEEの会議や日本のゲーム史の会議を繋いだものだ.(そして言うまでもなくその後には夏コミがある.)特に、2019 年8 ⽉10 ⽇(⼟)の展示は、国際会議の参加者だけでなく、一般にも公開される.国際会議DiGRAは単に学術的な議論をするだけでなく、会議室の外でも、その開催地のゲーム文化に触れる場が提供されてきた.たとえば過去のオランダ開催の時には夜になってゲーム研究者がDJをつとめるレイブ「DiGRAVE」が開かれたし、東京ではCEDEC2007と同時開催イベントにするだけでなくJAPAN国際コンテンツフェスティバル (CoFesta)の一環としてとしても位置づけられ、会場にはMIT Pressのゲーム研究書展示ブースの隣にCoFestaのブースが並んだ.またスコットランドではゲームの総合研究拠点がその規模の大きさによりヨーロッパ発祥のDiGRAとアメリカ発祥のFDGというゲーム研究の2大国際会議を同時開催したり、イギリス最大のインディーゲームフェスティバル「Dare ProtoPlay」に時期を合わせたりした.ようするに、期間中は都市をあげてゲーム研究者を歓迎するムードをつくりだしている.これを単独大学内で実現した立命館大学はすごい.
ゲーム研究者との国際交流
世界から集まったゲーム研究者との交流は楽しい.ゲーム研究における国際交流の重要性については、国内大会DiGRA Japan 2016の予稿集の企画セッション「ゲーム研究のトップ会議、国際学術出版への道」の渋谷による実体験を読むことができる.
ただし、日本のゲームについては海外の研究者の方が詳しい場合があることに注意したい. DiGRA2019のプログラムを見ればわかるように、スペインの研究者がシェンムーの横須賀について発表するなど、日本製のゲームについて論文を書いて審査を通過している(そして日本に渡航する研究予算を獲得している)のは国内よりも海外の研究者の方なのだ.彼らは日本のゲームを研究する際も日本の研究を読まずに、海外の研究予算で日本に調査に来て研究成果をあげている.
国内のアカデミックリーダーの方々には、海外でゲーム研究者を育成し拡大している取り組みにも注目してほしい.アカデミック・ブログの2017年レビュー記事の中で、ゲーム専攻の大学ランキングが変動していることを指摘したが、そこで新設のゲーム教育機関として言及したマルタ大学やカリフォルニア大学アーバイン校からも早速DiGRA2019に発表に来ている.これは新設のゲーム教育機関がゲーム研究の成果もあげはじめたことを示しており、目が離せない.
0 件のコメント:
コメントを投稿