2025年3月6日木曜日

GDC2025プレビュー(後編)

前編に続き後編では,アカデミック視点から注目のセッションと産学官民連携のセッションを紹介する.

1時間でわかるゲーム研究の最新動向 

2025年2月25日火曜日

GDC2025 プレビュー (前編)

(情報開示: IGDA日本はGDCの公式メディアパートナーとして,日本語情報を積極的に提供しています).
アカデミック・ブログ主筆の山根です.1月の「IGDA日本新年会」でも報告しましたが,本アカデミックSIGは今年3月をもって活動を終了して次の活動に進みます.本ブログはその後も残す予定です.(くわしくは本稿末尾にて説明します)

さて本記事では,毎年3月にカリフォルニアで開催されるゲーム開発者のための世界最大のカンファレンス「GDC(Game Developeres Conference)」の(現時点での)プログラムから,本ブログが独自に注目するイベントを紹介する. 前編の本稿では,GDCの専門分野の拡大と今年の傾向について紹介する.

2024年3月26日火曜日

ゲームデベロッパーが地球温暖化に取り組む理由: 2022-2024

主筆の山根です.私事ですが,この4年間はゲーム開発者の専門職大学の立ち上げに参画しました.そのためこの4年間は学術論文よりも,翻訳・対談・一般書を主にやってきましたが,最初の卒業生を送り出したことで,2024年度からはゲームの高度専門家人材育成を大学から日本全国へと広げていきたいと考えています.今回はその次世代ゲーム開発者を待っている問題の一つとして,2022年から起こっているゲームデベロッパーの環境問題への取り組みを,GDCなどの国際的な変化を中心に紹介します. 

2024年1月5日金曜日

Global Game Jam 2024 プレビュー: オフィスで,学校で,民家で,病院でゲーム開発

あけましておめでとうございます.
2024年1月の「令和6年能登半島地震」で被災された方々にお見舞い申し上げます.北陸地域は個人ゲーム開発に縁がある地域で,国内でもいちはやくゲームジャムを開催した石川県のGlobal Game Jam 2010 JAIST(北陸先端科学技術大学院大学)会場や,富山県魚津市の「UOZUゲームジャム」「デジタルからくり装置作りワークショップ」,名物にちなんだ『カニノケンカ』eスポーツイベントで知られる富山県射水市の「ToyamaGamersDay」と,ゲーム関係者がいくつもの足跡を残しており,無事を祈っています.
本記事では,1月末のGlobal Game Jam2024を展望します. 

2023年1月23日月曜日

2022年アカデミック・レビュー

主筆の山根です.これまでゲーム研究や高等教育で大きな出来事があった年は年間レビュー記事を書いていましたが,このところ本ブログではICD-11論争や香川県条例といったリアルタイムの社会問題にリソースを割いていたためにアカデミックなふりかえりが止まっていました.そこで,ここ2, 3年間をまとめてゲームのアカデミックな話題をふりかってみたいと思います.

2020年から2022年にかけて,ゲーム研究の出版は国内外でもりあがりました. 

2023年1月16日月曜日

GGJ23プレビュー: パンデミック後の産学イベント(追記あり)

  世界最大のゲームジャムイベント,Global Game Jamが1月末から2月第1週にかけて開催される.本ブログではGlobal Game Jamの初期から報告を行ってきたが,本稿では直前プレビューを行いたい.

対面会場が帰ってきた

2022年11月12日土曜日

ゲーム学における最大の論争(下): ゲーム産業団体のグローバル化

主筆の山根です.
 過去記事「ゲーム学における最大の論争(上)」では,Gaming disorder(ゲーム障害,ゲーミング障害,ゲーム行動症などと訳されるが公式訳は未定)の決定的な根拠が立証されないままICD-11に収載されたこと,そして立証する者がいないまま専門家の間で統一見解が出なかったこと,それを受けてアメリカのゲーム業界団体では重要論文を速報しながら根拠にもとづく議論を求めたり,ゲーム開発者コミュニティ内では心理学博士人材が情報共有を進めていたことを紹介しました.今回は,さらに最新動向と日本の状況について展望と提言を行います.

日本がゲーム産業の国際的ネットワークから無視され始めている?

 今月2022年11月2日に,世界のゲーム業界団体がGlobal Video Game Coalition(GVGC)を立ち上げた.プレスリリースは以下の文章ではじまっている.

2022年5月1日日曜日

GDC22アカデミックレビュー: ゲーム開発者の過去と未来

アカデミック・ブログ主筆の山根です.
毎年サンフランシスコで開催されるGDC(Game Developer Conference)は,世界最大のゲーム開発者のカンファレンスです.あまりにも大規模なのでどのセッションが「当たり」だったのか1社だけではカバーできず,企業を超えた情報交換も生まれています.IGDA日本が開催してきた現地でのパーティーや国内でのGDC報告会もそうした情報交換の場ですが,今年もコロナのために開催できません.そこで本稿では,情報交換をしていないやや特殊な視点から,「他ではできない体験」という観点から私的なふりかえりをおこないたいと思います.

今年のGDC22は,3月にサンフランシスコ現地開催とオンラインでのバーチャル開催とのハイブリッド形式で開催されました.数百件のセッションの中でも話題を集めたものは,公式ウェブサイトで紹介されています(Part1, Part2).また日本国内でもツイートまとめが作られたり,今年は過去のGDC参加者が新たなメタバース系に注目したGDC報告会も開催されました.本稿ではこれらの範囲をすべてカバーすることはできないので,国際学会でもIT系カンファレンスでもない,GDCならではの発表という観点から2つのセッションを選んでみます.

2022年1月3日月曜日

2021アカデミック・レビュー: ゲーム学における最大の論争(上)

アカデミック・ブログ主筆の山根です.あけましておめでとうございます.

本サイトはゲーム研究・ゲーム教育について情報発信を続けてきましたが,2021年の更新は停滞していました.これはコロナ禍によってIGDA日本の勉強会(および懇親会)が開けなくなったことも大きいですが,本アカデミックSIGにとっては,執筆以外の活動が増えた1年でした.具体的には,「gaming disorder」(ゲーム症,ゲーム障害,ゲーミング障害,執筆時点で公式日本語訳は未定です)についてウェブでの情報発信よりも直接的な社会的活動に終始した1年でした.2021年を振り返るこの機会に,ゲーム研究で最も問題となった概念の一つであるこの議論の経緯をまとめてみます.

2021年,IGDA日本アカデミックSIGの名前を出しての著述活動は以下の通りです.

2020年12月22日火曜日

書評『ゲームエンジンアーキテクチャ 第3版』

幹事の山根がIGDA日本のウェブサイトに「書評『ゲームエンジンアーキテクチャ 第3版』: 待望の日本語訳がひらく次世代ゲーム開発」を掲載しました.ベテラン開発者が実務家教員として大学で教えることで作られた本書は,実務家教員の役割と意義がわかる一冊です. 

 

2020年7月13日月曜日

Games for Change FestivalプレビューとG4Cの歩み

 今年のゲームズ・フォー・チェンジ・フェスティバル(Games for Change Festival) G4C2020 は7月14日(日本時間14日火曜深夜)-16日(日本時間17日金曜早朝)に開催される.特に今年はパンデミックにともない無料オンライン開催が決まり,日本からも視聴参加が容易になった.そこで本稿ではプレビューを行う.

個性的なニューヨークのゲームシーン


2020年6月1日月曜日

パンデミック下の不安に応えるゲーム専門家

ブログ主筆の山根です. 前記事「GGJ20以後のゲームジャムシーン 」では,大きなゲームジャムがオンラインに移行することで国境を超えたチーム開発経験を積めるようになったことに注目しました.ゲームジャムはこれからも貴重な開発体験を積む場所になるでしょう.その一方で,ゲーム開発以外の人たちにとってパンデミックはどのような変化をもたらしたのでしょうか? 本記事では,ゲーム開発者以外の動向に注目し,パンデミックに伴う外出禁止がゲームにもたらした変化をまとめます.

2020年5月25日月曜日

GGJ20以後のゲームジャムシーン

ブログ主筆の山根です.この4月から東京国際工科専門職大学のデジタルエンタテインメント学科に移り,4月から授業スタートしましたがまだ学生とは直接会っていません.さて,本記事では1月末のGlobal Game Jam 2020 をふりかえるとともに,その後のゲームジャムシーンをまとめたいと思います.

2020年1月30日木曜日

ゲーミング障害の政治とゲーム開発者ができること

アカデミックSIG主筆の山根です.
 本記事では,WHOでのゲーミング障害の扱いに対するゲーム学界の対応を説明し,ゲーム開発者が(パブリックコメント以外に)できることを考え,Global Game Jam瀬戸内会場in香川について説明します.
 さて香川といえば県の#ネット・ゲーム依存症対策条例が話題だが,その出しにつかわれたのが「ゲーム障害(ゲーミング障害)」という概念である.世界保健機構(WHO)のICD-11(追記: 「疾病及び関連保健問題の国際統計分類」(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems) 第11版)で,「ゲーミング障害(gaming disorder)」の分類が追加されることが決定され,有効になる前から政治的関心を集めている.本記事ではゲーミング障害に関するゲーム研究・ゲーム分野での議論をまとめてみたい.

ゲームと障害

これまでゲームと「障害」(discorder)についての学会報告といえば,「ゲームで障害を治療できるか」というゲームを積極的に応用する取り組みが主流だった.

2019年11月1日金曜日

ゲームデザイン大学教科書の到来 (付録: 『ゲームデザインバイブル』正誤表案)

アカデミック・ブログ主筆の山根です.
ジェシー・シェルによるThe Art of Game Designが今年の夏に『ゲームデザインバイブル 第2版』として、オライリージャパンから翻訳出版された.これはゲームデザインを学ぶ大学生のための教科書として執筆されて改版を重ね、現時点でのゲームデザインの最強の定番教科書である.これまで大学で使えるレベルのゲームデザイン教科書が入手困難だった日本のゲーム教育界にとって、本書の翻訳は江戸時代に『解体新書』が訳されたのと同様に、専門家だけでなく多くの人が新しい学問体系を知るきっかけになるだろう.本稿ではこの教科書(以下、本書)の紹介と今後の展望について述べ、末尾には付録として正誤表案を示す.

著者について

著者のジェシー・シェルは、数々の職を経験したあと、ゲーム産業とコラボレーションをする大学のパイオニアだったカーネギーメロン大学ETC(エンタテインメントテクノロジーセンター)に教育専門教員としてスカウトされ、全米トップの大学でゲームデザインを教えてきた.その他にも、過去にはIGDAチェアマンをつとめたり、自らのゲームスタジオSchell Gamesもたちあげて現在に至っている.
 彼がディズニーでVRアトラクションやオンラインゲームに取り組み、そこで出会ったランディ・パウシュにスカウトされた経緯はカーネギーメロン大学のYouTube講義『最後の授業』でも言及されている(パイレーツ・オブ・カリビアンVRのゲームデザイナ, BVW科目の後継として).そしてNHKのドキュメンタリーにも登場した.

2019年8月4日日曜日

DiGRA2019 in 京都 勝手にプレビュー(後編)


IGDA日本アカデミック・ブログ主筆の山根です.外部の視点から見るDiGRA2019プレビューの最終回は、Ritsumeikan Game Weekと国際交流について紹介したい.

2019年8月3日土曜日

DiGRA2019 in 京都 勝手にプレビュー(中編)

前編の記事では、2019年8月6日から京都で開催されるDiGRA2019国際会議について、本体のセッション以外のワークショップをプレビューした.本記事では、後編としてその後に発表された情報を日本でゲームに関わる方々にお届けする.

2019年6月7日金曜日

DiGRA2019 in 京都 勝手にプレビュー(前編)

DiGRAが再び日本で開催

DiGRA(Digital GamesResearch Association)の世界大会「DiGRA2019」が今年2019年8月に京都で開催される.
「今回はDiGRAの日本語ニュースが少ないなあ」と思われる方も多いかもしれない.たしかに初めてDiGRA世界大会が日本で開催された前回の2007年には日本語ウェブサイトをつくったり、非会員にも日本語ニュースレターを配ったり、CEDECと同時開催にして基調講演をCEDEC受講者特別価格で提供したりした.これは多くの国内関係者の尽力によって可能になった.

2019年3月17日日曜日

2019年プレビュー後編: 誰が教育者を教育するのか

新たな動向: 存在意義を発信する教育機関

ブログ主筆の山根です.前回の前編記事では、2000年代にデジタルゲームが学問の対象となり、一部の先進校だけでなく国際学会をあげて整備されてきた歩みを紹介しました.こうしてゲームが人生をかけて学ぶに値する学問になって、ゲーム開発者教育はこの先どこに向かうのでしょうか.まず考えられるのは、本ブログでもたびたび紹介してきたように、各国でゲーム研究を看板にした大学・大学院の競争が活発になる.この競争にもいろいろな評価基準があり、どれだけ人材育成予算を獲得したか(たとえば2019年2月、イギリスでは新たに60人のゲームAIの博士課程の大学院生を雇用すると発表した)、どれだけ大きな研究拠点を作ったか(フィンランドでは公立のCoE (The Centre of Excellence in Game Culture Studies)を設置した)、そして調査会社がつくったランキングの順位を競う競争(昨年の本ブログ記事でも紹介)もある.しかし、こうした競争だけでは学問の発展は説明できません.競争する一方で、ゲーム教育機関は国境を超えて同じ目標を掲げて足並みをそろえています.
 2019年は学問としてのゲーム教育機関がその存在意義を発信し、評価を受ける年になると考えています.この後編の記事では.今年2019年に開催されるイベントから新たな取り組みを展望します.

2019年2月18日月曜日

2019年プレビュー前編: ゲーム開発者教育とゲーム学の歩み

ゲーム開発者教育の20年

本記事はGDC19, FDG19から見える2019年のゲームのアカデミックシーンを展望する予定だったが、2019年に起こる試みの新しさを理解するには、まず背景となるゲーム開発者教育が大学そして大学院で高度化してきたこれまでの動向を知っておく必要がある.そこでまず前編として、これまでの過去のゲーム教育の歩みをふりかえってみたい.